川崎市登戸ミルトス・フルート音楽教室では、フルートをはじめ、リコーダー、フラウト・トラヴェルソ(木製バロック・フルート)もレッスンしています。
講師の北方奈津子先生が、その中で一番最初に吹いたのは、小学校の音楽の時間に吹いたリコーダーでした。多くのみなさんも、初めてのマイ楽器がリコーダーだったのではないでしょうか。
以下、北方奈津子先生のリコーダーとの出会いについてのブログです。
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小学校3年生の時、楽器はピアノを習っていましたが、笛を吹くのは初めてでした。指は見えないし、息で吹くことが初めてだったのです。
(北方先生の子ども時代には、まだ鍵盤ハーモニカは全員持ちではなかったので、吹奏楽器はこのリコーダーが生まれて初めての経験だったのです。)
その当時は、簡単なメロディーが吹けるか吹けないか、といった様子でしたが、それでも自分で一曲を通して演奏できたことは楽しい思い出です。
ピアノは楽譜を見ながら鍵盤を探り探り、両手では苦労しながらしか弾けなかったので、すべてを自分の思い通り(当時はそう思えた)演奏できることは、自由を得たような感覚でした。
そうして小学校は楽しくリコーダーを吹いていましたが、中学校、高校の音楽の時間ではリコーダーをあまり使いませんでした。学校では学年が上がるにつれて、だんだん音楽の時間数が減っていきますから、リコーダーに時間を割くことが難しいのが実情ですから。
でも、高校時代に一度だけ、リコーダーを聴く機会がありました。高校の音楽の先生が、リコーダー奏者を授業に呼んできてくれて、私たちに演奏を聞かせてくれたのです。
教室に入ると、奏者は一人なのに、かなりの数のリコーダーが並べられていて、大小さまざまの、そして私たちの持っているのとは形の違うリコーダーがありました。そしてそれらの数々のリコーダー演奏があったのですが、知っている曲はほとんど無く、クラシック音楽が好きな人たちでも聞いたことが無いジャンルのようでした。その音楽は、私たちを、日常から離れた心地よさに満ちた知らない世界へ連れていってくれました。
不思議な経験でしたが、その時に聴いた音楽は、今になって思い出してみると、ある程度耳にする機会のあるクラシック音楽よりさらに古い、中世ルネサンス音楽だったのでしょう。貴重な経験でした。
その後は10年近くリコーダーに触れることなく過ごしましたが、ある時、大きな転機が訪れました。
それは1枚のレコードでした。演奏者はフランス・ブリュッヘン。リコーダーでバロック音楽を録音したものでした。
それまでは、バロック音楽といえば、イタリアの「イ・ムジチ合奏団」が日本でも大人気でしたが、それとは全く違う、大胆な演奏に度肝を抜かれてしまいました。
それまでの爽やかなバロック音楽のイメージを一新し、生き生きと感情があふれる新鮮さにみなぎっていました。
しかもヴァイオリンのような華々しい楽器ではなく、あのリコーダーで!
小学校時代に子供の楽器かと思っていたのが、本当は素晴らしい独奏楽器でもあったことを知ったのが、とても大きな衝撃でした。
そこからバロック音楽への興味が湧き、知れば知るほど面白くなり、現在のフルートの原型である、フラウト・トラヴェルソ(木製バロック・フルート)まで吹くことになりました。
こうして思い返してみると、リコーダーとの出会い、再会が、私の音楽の世界を広げるターニングポイントになっていることを感じます。
本当に良い出会いでした。感謝!
北方奈津子